令和7年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書が公表されました
環境省より、令和7年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書が公表されました。
以下「概要」より抜粋
テーマとポイント
- 2025年1月に米国がパリ協定からの脱退を表明したが、我が国としては、脱炭素と経済成長の同時実現を目指し、2050年炭素中立(ネット・ゼロ)の実現に向けた取組を着実に進めていく。
- 地球規模の環境問題においては、先進国・途上国の区分を超えて、分断ではなく、共に取り組む「協働」が重要。AZECを始め、国際社会に対して、我が国から訴えかけていく。
- 持続可能な社会に向けた科学技術・イノベーションとスタートアップ支援。
- 「ウェルビーイング/高い生活の質」を実現するため、環境・経済・社会の統合的向上の実践・実装の場として位置づけた「地域循環共生圏」。
構成
第1部 総説
第1章「市場」~環境とビジネス~
第1章では、国内外の気象災害、環境問題による経済的影響を考察し、我が国の地球温暖化対策の目指す方向性を示すと共に、近年拡大するサステナブルファイナンス、環境情報開示等の「新たな成長」を導いていく経済活動の取組、環境とビジネスの動向について解説しています。
- 気候変動の状況/生物多様性の損失の状況/科学的知見と経済的影響/線形経済から循環経済へ/温室効果ガスの状況/地球温暖化対策計画の改定/GXの実現に向けて/サステナブルファイナンス/企業の脱炭素経営、環境情報開示/ネイチャーポジティブ経済移行戦略/持続可能なバリューチェーンの構築/科学技術・イノベーション、スタートアップ支援
第2章「政府」~循環経済・自然再興・炭素中立の統合に向けた取組~
第2章では、気候変動、生物多様性の損失及び汚染という相互に関係する3つの世界的危機に対し、最新の動向や施策を紹介すると共に、課題の相互依存性を認識して循環経済・自然再興・炭素中立等政策の統合、シナジーを図ることの重要性を紹介しています。
- 国際的動向(G20、COP29、COP16、HLPF2024)/循環経済(サーキュラーエコノミー)/第五次循環型社会形成推進基本計画/再資源化事業の高度化/プラスチック資源循環/自然再興(ネイチャーポジティブ)に向けた日本の今/30by30目標/地域の脱炭素移行/再生可能エネルギーの最大限の導入/電力部門の脱炭素化に向けた取組/二国間クレジット制度(JCM)、環境インフラ海外展開
第3章「国民」~地域・暮らしでの環境・経済・社会の統合的向上の実践・実装~
第3章では、第六次環境基本計画において、環境・経済・社会の統合的向上の実践・実装の場として位置付けた「地域循環共生圏」の更なる発展を図ると共に、人々の暮らしを、環境をきっかけとして豊かさやウェルビーイングにつなげ得る取組について紹介しています。
- 地域循環共生圏/良好な環境の保全活用による地域のウェルビーイングの向上/デコ活、官民連携協議会(デコ活応援団)/ライフスタイルシフト(住まい、食、ファッション、移動など)/人の命と環境を守る(水俣対策、熱中症対策、エコチル調査、PFAS等化学物質対策、鳥獣保護管理の強化)
第4章 東日本大震災・能登半島地震からの復興・創生
第4章では、東日本大震災や原発事故、能登半島地震の被災地の環境再生の取組の進捗や、復興の新たなステージに向けた未来志向の取組を紹介しています。
- 帰還困難区域の復興・再生に向けた取組/福島県内除去土壌等の県外最終処分に向けた取組/復興の新たなステージに向けた未来志向の取組/ALPS処理水に係る海域モニタリング/リスクコミュニケーションの取組/能登半島地震の復興に係る取組(公費解体、災害廃棄物への対応、ペットを飼養する被災者への支援、創造的復興に向けた取組)
第2部 令和6年度に各分野で講じた施策
第3部 令和7年度に各分野で講じようとする施策
補足
「自然再興(ネイチャーポジティブ)」のキーワードが昨年度の白書にはなかったものです。「自然再興:ネイチャーポジティブ」とは、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」ことで、自然保護だけを行うものではなく、社会・経済全体を生物多様性の保全等に貢献するよう変革させていく考え方。その実現に向けた取組として、30by30目標の達成に向けた取組や、特定外来生物対策などの地域における取組を推進。これまでは、「保護」など悪化を防ぐ対応から、積極的に回復させるという意識の表れです。
参考
- 環境省ニュースリリース「令和7年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の公表について」(2025/6/6)
以上(2025/6/7)